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コラム -医療情報提供-

「傷の見えない究極の手術」と「ロボット手術」

1.腹腔鏡下手術
  胃や腸の手術では通常腹部に15cm位の切開が必要です。一方、腹腔鏡下手術では、お腹の中にトロッカーという5mmから12mm程度の太さの筒を数本入れ、これを通してカメラや手術器具を入れ、テレビに映し出されたお腹の中の様子を見ながら手術をします。
  開腹手術に比べ、 ①傷が小さい ②術後の痛みが少ない ③回復が早い ④出血や癒着が少ない などの利点がありますが、高度の技術を要する手術ですので、多少手術時間が長くなってしまいます。
  これまで「胆嚢摘出術」「胃がん手術」、「大腸がん手術」をはじめとして、多くの疾患で腹腔鏡を用いた手術を行ってきましたが、その中でも、大腸がん手術と、全国に先駆けて行ってきた、傷のほとんど見えない究極の手術「単孔式手術」、さらに当院に2年前に導入した手術支援ロボットについてお話します。

2.大腸がん
  1997年から、積極的に大腸の腹腔鏡手術に取り組んできました。当初は、通常の大腸カメラで切除できない良性ポリープや、ごく早期の大腸がんを対象としていました。2001年からは、進行大腸がんの手術も行っています。現在では、大腸がん手術の約80%が腹腔鏡手術です。
  昔はリンパ節郭清を伴う直腸がんの手術では、排尿障害、性機能障害などが発生する可能性が高かったのですが、腹腔鏡による拡大視効果で、神経を確認しながら手術することによって、それらの合併症の発生を抑えています。

3.単孔式手術:傷の目立たない究極の手術
  単孔式手術とは、これまでの腹腔鏡の手術とその概念は同じですが、臍を2-3cm縦切りし、その傷から通常3本の器具と1本のカメラをお腹の中に入れて行う手術のことです。術後の傷は、臍を作り直すように縫い合わせます。胆嚢摘出術では臍の中に傷が埋もれ、まったく目立たなくなり、大腸がんの手術でも傷が臍から1-2cmはみ出す程度で、ほとんど目立たなくなります。
  患者さん、特に若い女性には喜ばれると思います。
  通常の腹腔鏡手術と比べると、さらに難しい手術です。国内、そして米国でこの手術の研修をした後、約5年前から手術を開始しました。胆嚢摘出術だけでなく、病変の進行度を慎重に検討しながら、大腸がんの患者さんにもこの手術を行っています。

4.ロボット手術
  高知大学医学部附属病院では約2年前に、手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を導入しました。お腹の中を3次元で観察しながら、ロボットの技術支援を利用して、より繊細な手術を行うことができます。通常の腹腔鏡手術が困難な前立腺がんの手術で威力を発揮しています。保険適応があるのは前立腺がんのみで、当院では、100例を超す手術経験があります。
  現在、直腸がん手術に導入し、今後、胃がん手術にも導入予定で準備を進めています。

  高知大学医学部附属病院の低侵襲手術教育・トレーニングセンターでは、各種シミュレーターを導入し、腹腔鏡手術やロボット手術の教育トレーニングを行い、少しでも患者さんの負担が軽減できるよう、日々努力を続けています。
  もし万が一、お腹の手術をしなくてはならなくなった場合には、一度ご相談ください。


◎ 著者プロフィール
氏名:小林 道也(コバヤシ ミチヤ)
所属:高知大学医学部 医療管理学
役職:教授

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