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コラム -医療情報提供-

前立腺がんの新しい治療

 前立腺がんは年々増加しており、その罹患数は、2015年のがん統計予測では98,400人と推定され、ついに男性に多いがんの第1位になりました。しかしながら、死亡率はこのところ減少傾向にあります。
 これには治療法の発展が大きく寄与していると考えられます。近年、その治療法は、より身体にやさしくなっています。今回はその中でも、ロボット支援手術と放射線内照射療法についてお話します。

 ロボット支援手術とは、執刀医が直接患者さんに触れることなく、「ダビンチ」という手術支援ロボットを操作して行う手術です。決してロボットが勝手に手術を行う訳ではありません。

 このダビンチは、ロボット部、執刀医の操作台、助手用のモニターから構成されています。ロボット部には、先端に鉗子やハサミなどを取り付けるロボットアーム3本と、内視鏡が装着されるアーム1本があります。
 まず、患者さんのお腹におよそ1cmの穴を6か所あけて、この3本のロボットアームと1本の内視鏡を挿入します。残りの2か所の穴は、助手が使用します。執刀医は、操作台に座り、画像を見ながら遠隔操作でロボットアームの先端の鉗子を動かして手術を行います。

 ダビンチでは、最大10倍にまで拡大された3次元の視野で、デジタルハイビジョンによって鮮明な映像となった体内を見ることができます。
 またダビンチでは、人間の手以上の動きが可能です。傷が小さく、合併症のリスクも少なく、術後の回復が早く、入院期間が短く、早期の社会復帰が可能です。
 高知大学医学部附属病院では、2012年10月から前立腺癌に対するロボット支援手術を開始しており、現在までに200人以上の患者さんに治療を行っています。

 次に放射線内照射療法についてお話しします。これは、別名「ブラキセラピー」あるいは「小線源治療」と言います。
 ブラキセラピーとは、体の中から放射線をあてて、癌細胞を死滅させる治療法です。ブラキセラピーには、放射線を発する小線源を一時的に前立腺内に挿入して治療する「高線量率組織内照射」と、小線源を永久に前立腺内に埋め込む「永久留置」の2つの方法があります。
 手法はどちらもほぼ同じで、会陰部に細い針を刺し、超音波画像で位置を確認しながら、その針を通して小線源を前立腺に挿入します。「高線量率組織内照射」では、針を刺したまま、6時間あいだをあけて2回照射を行います。「永久留置」では、小線源の入ったカプセルをおよそ60~100個、前立腺に埋め込みます。どちらも治療は一日で終わります。
 本院は、これら両方の治療を受けることができる日本で数少ない施設の1つです。ともに入院が必要ですが、手術に比べると体への負担が少なく、体にやさしい治療と言えると思います。


◎ 著者プロフィール
氏名:蘆田 真吾(アシダ シンゴ)
所属:高知大学医学部 泌尿器科
役職:講師

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