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よろず相談

46.口を開けると、あごが痛みます(平成27年4月3日掲載)

質問
 昨年1月ごろから、あくびなどで口を大きく開けると、左耳の後ろから顎にかけて痛みが起こるようになりました。それまでに左奥の歯茎の腫れを繰り返していましたが、放置していました。
 口腔外科では「顎関節症ではない」と言われ、抗生物質や痛み止めを服用しましたが、改善しませんでした。
 その後、痛みが取れないので左右の奥歯を抜きましたが、左側の痛みはずっと残っています。最近では左の肩甲骨も痛むようになりました。 
 歯茎や顎の痛みと肩こりは関係があるのでしょうか。(66歳女性)

回答

 口を大きく開けた時に「あご」が痛くなるというご相談ですが、耳の後ろから顎下部にかけてやや広い範囲に痛みがあるようです。この部位の痛みの原因は非常にたくさんありますが
 ①骨や関節の異常
 ②筋肉の異常
 ③神経の異常
 に大きく分けて考えるとよいと思います。

 顎関節症は比較的多い病気ですが、耳の前にあるあごの骨(下顎骨)の関節の異常によるもので、特に関節内のクッション材(関節円板)の異常によることが多いです。口が開きにくくなったり、口を開ける時に関節部で「カクッ」や「ガクッ」という音がしたりすることも特徴的です。
 そのほか、虫歯や歯肉炎の炎症が下顎骨に及んだ場合も痛みの原因になりますが、歯科での診察結果や治療の経過からは否定的なようです。

 あごを開けたり閉めたりするために、耳の前からあごにかけて多くの筋肉があります。これらの筋肉の機能障害や炎症によって痛みが出ることもあります。
 多くは口を開け閉めしたり、食事の際に食べ物を咀嚼(そしゃく)したりすることで痛みが誘発されます。口を開けた時だけに痛みが出る、抗生物質や痛み止めを内服しても改善しないのであれば、筋肉の異常も考えにくいようです。

 神経の異常としては、三叉(さんさ)神経や舌咽(ぜついん)神経などの刺激による痛み(いわゆる神経痛)があります。刺激の原因としてはのど(上咽頭や中咽頭)、耳下腺、耳などの炎症や腫瘍のほか、耳の前から下顎骨の内側に向かって伸びる茎状突起という骨が長すぎる場合(過長茎状突起症)などもあります。肩の方まで痛みが走るような場合にはこれらの神経の異常も考える必要があります。

 約1年以上にわたって長く症状が持続していて、歯や歯肉の問題でもないようですので、一度のどや耳などのチェックも受けられることをお勧めします。


◎ 著者プロフィール
氏名:兵頭 政光(ヒョウドウ マサミツ)
所属:高知大学医学部 耳鼻咽喉科
役職:教授

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