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よろず相談

51.ピロリ菌除去、いつがいい?(平成27年6月26日掲載)

質問
 1月に、かかりつけの先生とは別の先生に「ピロリ菌がいる」と言われました。昨年9月の胃カメラ検査では異常はありませんでした。若いころから胃炎気味で、食欲は少なく、いつも膨満感があり、薬を飲んでいます。
 かかりつけの先生には「9月にまた胃カメラをするので、その時に」と言われましたが、除去は早い方がいいのではないでしょうか。胃カメラは受けたくないのですが、ほかに診断方法はないのでしょうか。(75歳女性)

回答

 ピロリ菌は慢性胃炎、胃潰瘍のほかに、胃がんの誘因となることから、除菌が推奨されていることはご存知の通りです。通常、ピロリ菌の感染は小学校入学以前に生じると言われますので、相談者はもう70年近く感染が続いていることになります。早めの除菌をお勧めします。

 胃カメラを使わないでピロリ菌感染の有無を診断する方法もありますので、「ピロリ菌がいる」と言われた先生は、そのいずれかの検査をなさったものと思われます。「昨年9月に胃カメラを受けているため、あらためて受けたくはない」とのことですが、その間に新たに胃がんが生じているかもしれません。
 ピロリ菌の除菌を希望する場合は必ず胃カメラ検査をし、胃がんなどの悪性腫瘍の合併を前もって否定し、ピロリ菌による慢性胃炎との診断を受ける必要があります。これは、既にある胃潰瘍や胃がんに対してはピロリ菌の除菌療法は何の治療効果も持っていないからです。

 また、「治療を受けた人全てで除菌が成功するとは限らない」ということも知っていただく必要があります。治療に使う薬の組み合わせにより、除菌の成功率が異なるからです。最初の除菌に失敗すると2次除菌、さらに失敗すると3次除菌を受けることになり、胃がんを予防するという目標を達成する上で困難を生じる可能性があります。

 さらに、相談者の場合は70年近く感染が続いていることから、除菌に成功しても定期的に胃カメラの検査を受け、早期胃がんの発見に努める必要があると思います。これは、除菌に成功しても、胃がんを完全に予防することが不可能だからです。

 このように、ピロリ菌の検査や除菌をする際には留意しなければならない事項が数多くあります。最新・最良の治療をご希望の場合は、消化器病専門医や消化器内視鏡専門医の先生とよく相談されることをお勧めします。


◎ 著者プロフィール
氏名:西原 利治(サイバラ トシジ)
所属:高知大学医学部 消化器内科
役職:教授

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