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よろず相談

54.便通が多く、困っています(平成27年8月7日掲載)

質問
 便通が多く、1日に4~5回あります。下痢や、便が硬いといったことはありませんが、旅行の時などに少し困ります。野菜は毎日多めに、ヨーグルトやショウガなども取っています。身長158センチ、体重65キロです。治療や薬があれば教えてください。(76歳女性)

回答

 普通便の方で便の回数が多くなる原因は、大きく三つに分かれます。

 食物繊維など吸収できない物が多く含まれる野菜などを食べると、便の量が増加し、回数が増えることがあります。
 また、「乳糖不耐症」といって、腸管で乳糖を分解する消化酵素「ラクターゼ」の活性の低い人が牛乳やヨーグルトなどの乳糖を多く含む乳製品を食べると、便の回数が増え、時には下痢を来すことがあります。

 さらに、食物繊維や乳糖、ショウガに多く含まれる有機化合物「6―ジンゲロール」などは腸の運動(腸蠕動=ぜんどう)を高める働きがあるので、これも排便回数を増やす可能性があります。
 便秘でお悩みの方は多いと思いますので、このような食生活を取り入れ、便秘の解消に役立ててください。

 相談者はヨーグルトやショウガなど便秘を解消する食生活を毎日続けたために、便の回数が増えて日常生活に支障を来しているようです。下痢や便が硬いといった便そのものの異常がなくても、日常生活での負担は多いと思います。
 では、どのような点に留意すれば、便の回数を減すことができるでしょうか。

 漢方では患者さんごとに心と体の状態を診て、治療指針である「証」を明らかにし、使用する漢方薬を決めます。医食同源、今回の場合は野菜やヨーグルト、生姜が漢方薬に当たります。
 もうお分かりでしょう。相談者は「身体に良い」と考えて、便秘解消に良い食事を取り入れていますが、漢方風に表現すれば「証」に合わない治療をしてしまったのです。
 便秘でない人に腸管の刺激剤を飲ませているようなものですから、便の回数を減らすには誤った処方を正すことが一番だと思います。便秘解消に良い食事を制限、もしくは止めることで、問題は解決する可能性が高いと思います。

 もちろん、高齢の方では、消化管に病変があって便の回数が増えている可能性も考慮する必要があります。一度、消化器内科で診察を受けていただくと安心ですね。


◎ 著者プロフィール
氏名:西原 利治(サイバラ トシジ)
所属:高知大学医学部 消化器内科
役職:教授

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