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よろず相談

61.歯に耐えがたい違和感(平成27年11月13日掲載)

質問
 7年ほど前から、朝目覚めてから起きている間中、歯が自分の歯ではなく鉛でも入っているような感じです。口全体が引きしばられるように痛く、すべての歯がバリバリと折れてしまいそうで、耐えがたい違和感です。歯科、耳鼻科、口腔(こうくう)外科を受診しましたが、何の病気か分かりません。心療内科では自律神経が原因と言われ、薬を飲んでいますが、何が原因なのでしょうか。(73歳女性)

回答

 口の中の痛みや違和感には、口の中に原因があるものとそうでないものとがあります。7年ほど続いていて、歯科、耳鼻咽喉科、口腔外科で診てもらっても何の病気か分からないとのことですので、口の中に原因があるのではないように思われます。

 ではどんな原因が考えられるかというと、脳の中の痛みを制御するシステムに異常が起こっている可能性があります。最近の研究で、この脳の制御システムに異常が生じると、わずかな痛みが増強されたり、脳の中で痛みが勝手につくり出されたりすることが分かってきました。この痛みには病気に対する不安や恐怖、周りの環境から受けるストレスなどが関わっていることも分かってきました。

 最初は口の中に違和感を生じる何らかの原因があったのかもしれませんが、違和感が長引いて「がんではないか」といった不安や恐怖が強くなると、脳の中のシステムが異常をきたし、口の中の原因は完全に治っても、脳の中で違和感が発生し、持続するということが起こってきます。

 このような慢性の違和感に対する治療は薬が中心となります。相談者の方は現在、薬を服用しているようですが、使用量が少ない場合や他の種類の薬が有効な場合もあるので、もう一度、現在かかっている心療内科の先生に相談してみてはいかがでしょうか。

 通常、処方される薬はうつ病などの精神疾患に使用されるものですが、精神疾患に対してではなく、脳の制御システムを調整して慢性的な痛みを軽減させる作用があるために使用していますので、それを理解しておいてください。

 ただ、いくら薬を服用しても、意識が違和感や痛みに集中しているときは効果が出ない場合もあります。趣味など熱中できるものを見つけてそれに集中するなどして、違和感について考える時間を減らすことを心掛けましょう。
 口腔外科で診てもらってから随分時間がたっているのであれば、もう一度口の中に異常がないかどうかを調べてもらい、問題なければ心療内科や精神科と連携を取りながら治療することをお勧めします。


◎ 著者プロフィール
氏名:山本 哲也(ヤマモト テツヤ)
所属:高知大学医学部 歯科口腔外科
役職:教授

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