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よろず相談

64.眼の黄斑部にしみ(平成27年12月25日掲載)

質問
 2年前に加齢黄斑変性と診断され、3カ月ごとに検査を受けていました。交通の便のいい別の眼科に転院したところ、加齢黄斑変性ではなく、黄斑部にしみがあると言われました。罫紙(けいし)や楽譜、敷居、電車のレールなど、等間隔の線状のものが部分的に膨らんだようにゆがんで見えます。白内障もあり、白内障を手術すれば、ゆがみも今より改善されるのでしょうか。加齢黄斑変性に移行しやすいのでしょうか。目にいいというサプリメントは効果が期待できますか。(84歳女性)

回答

 黄斑部のしみを指摘されているということですが、ゆがみの症状があることを考えると、加齢黄斑変性症の前段階であるドルーゼンではないかと思われます。

 ドルーゼンとは眼底にたまった視細胞の老廃物で、若い時にはきれいに消化されるのですが、加齢により消化効率が落ちることで眼底に蓄積するようになります。
 ドルーゼンがたまってくると、慢性の弱い炎症が持続して起きるようになります。炎症を鎮めようとしてさまざまな化学物質が目の中に誘導され、その過程で新しい血管が生えてきます。
 この新生血管が悪さをすると、黄斑部(ものを見る機能のある網膜の中でもさらに大事な部分)で出血や浮腫を引き起こし、加齢黄斑変性症と呼ばれる病気に発展します。

 加齢黄斑変性症は大きく2つのタイプに分かれます。
 黄斑部が加齢とともに枯れていく「萎縮型」、前述した新生血管により黄斑に機能障害をもたらす「滲出(しんしゅつ)型」です。このうち、滲出型の症状として視力低下、ゆがみ、中央の視野欠損などを認めます。

 残念ながらこのゆがみは白内障手術では改善しません。ドルーゼンや加齢黄斑変性症の進行具合にもよりますが、初期であればルテイン、ビタミンA、C、E、亜鉛などが含まれる緑黄色野菜(ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、ニンジン、パプリカ、カボチャなど)や貝のカキなどを摂取することにより、ドルーゼンの蓄積を防ぎ、加齢黄斑変性症への進行を予防する効果が期待できます。
 食事だけで十分摂取できない場合はサプリメントも有効ですが、摂り過ぎはよくありません。眼科医と相談の上、必要量を摂取してください。

 また、喫煙が加齢黄斑変性症の危険因子であることも分かっていますので、禁煙を心掛けてください。
 すでに加齢黄斑変性症に発展しているようであれば、目の中に直接注射する薬やレーザー治療もあり、病変の状況によって治療法を選択します。

 現在通われている眼科に網膜、黄斑部の状態についてあらためて説明を受け、適切な治療を受けていただくのがよろしいかと思われます。


◎ 著者プロフィール
氏名:多田 憲太郎(タダ ケンタロウ)
所属:高知大学医学部 眼科
役職:助教

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