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よろず相談

65.ピロリ除菌したいが…(平成28年1月15日掲載)

質問
 胃の検査でピロリ菌がいることが分かり、除菌したいのですが、40年ほど前に抗生物質「ジョサマイシン」を服用したところ、全身に赤いぶつぶつができ、その治療に1週間ほど通院した経験があります。病院からは、ピロリ菌を除菌するのはジョサマイシンだからそれを使えないならほかに方法はないと言われました。代わりの薬はないものでしょうか。私は花粉症で抗生物質「クラビット」にも反応します。(72歳女性)

回答

 ピロリ菌は子どものころに胃にすみ着く細菌です。ピロリ菌がすみ着くと、やがて胃の粘膜に慢性の炎症が起きます。すると、胃の粘膜が薄くなり、そこから高い確率で胃がんが発生します。

 ピロリ菌は細菌ですので、適切な抗生物質を十分な量投与することで除菌できます。除菌に成功すると胃がんが発生する頻度は3分の1になるといわれています。このため、多くの方がピロリ菌の除菌を希望されます。
 72歳でしたら胃にはピロリ菌が60年以上すんでいると推測されますので、早めに除菌する方がいいと思われます。

 とはいえ、除菌の際には少なくとも3種類の薬を同時に服用するため、強い副作用を起こす方が少なからずいます。相談者の場合もピロリ菌の除菌が望ましいとは思うものの、ジョサマイシンを服用した時にアレルギー反応を起こし、治療に1週間くらい通院した経験があり、心配しておいでです。
 ある特定の薬物に対してアレルギーが発生するかどうかを薬の構造式から前もって予測することは容易ではありませんので、もっともなご懸念だと思います。

 1回目の除菌療法の際には、ジョサマイシンと、類似の構造を持つクラリスロマイシンが用いられます。ジョサマイシンで副作用が起きたからといって、クラリスロマイシンや他の薬で同様の副作用が起こるとは限りません。
 しかし、医師は治療の必要性、それによって得られる利益、副作用の危険性を総合的に評価して、利益が危険性を上回ると判断した場合にのみ、治療を試みます。

 「代わりの薬はないものでしょうか」とのご質問の裏には、「安全にできるならピロリ菌を除菌してみようか」との思いも感じられます。
 相談者のような場合、「安全を前提とした治療」を期待されても、医師がそれを保証することは至難の業です。病院の医師は得られる利益よりも、危険性の方が大きいと判断されたのではないでしょうか。

 60年以上、ピロリ菌がすんでいたとすると、胃の粘膜はかなり傷んでいることが予想されます。既に胃がんができている可能性はないのでしょうか。除菌に用いる薬は胃がんには全く効果がありませんので、まずは消化器病の専門医がいる医療機関で上部消化器内視鏡検査を受け、胃がんの早期発見に努めるようお勧めします。


◎ 著者プロフィール
氏名:西原 利治(サイバラ トシジ)
所属:高知大学医学部 消化器内科
役職:教授

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