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よろず相談

69.ヨーグルト 前立腺によくない?(平成28年3月11日掲載)

質問
 年齢的に前立腺の病気が気掛かりで、定期的に検査を受けています。5年ほど前に市民講座で「ヨーグルトは前立腺によくない」と聞いたように記憶しています。以来、ヨーグルトは食していませんが、本当によくないのでしょうか? また、健診で腎臓の機能が低下していると言われ、治療には至っていませんが、食生活では減塩を第一に心掛けています。その他食生活や日常生活で注意すべき点があれば、お教えください。(73歳男性)

回答

 前立腺がんは世界的に多いがんで、日本でも生活習慣の欧米化に伴って著しく増加しています。国立がん研究センターの2015年の予測では、1年間の患者数が約9万8千人と男性のがんの中で第1位です。

 前立腺がんになりやすくなる食べ物には、乳製品、カルシウム、脂肪、肉があり、予防にいい食べ物としては大豆、緑茶、リコピン、ビタミンE、魚、野菜などが挙げられます。乳製品の摂取量が多いグループでは前立腺がんになる危険性が高いと、国立がん研究センターが報告しています。その一方で、骨粗しょう症、脳卒中、大腸がんなどの予防には、乳製品の摂取が有効という報告もあります。

 そこで今回の「ヨーグルトは前立腺によくないのか」というご質問に対する答えとしては、ヨーグルトのような乳製品の摂取は総合的に判断すべきで、どんなものでも多く食べ過ぎるのは禁物、とご理解ください。

 前立腺がんは、初期には自覚症状がないことが多く、排尿の状態や回数では予測できません。進行して転移による骨の痛みや下肢の腫れで発見されることもあり、症状がないからといって、大丈夫というわけではありません。
 前立腺がんの発見には、血液中の「前立腺特異抗原(PSA)」測定が役に立ちます。PSAは前立腺がんに限った腫瘍マーカーですが、前立腺肥大症や前立腺の炎症などでも高くなることがあるので、泌尿器科専門医がほかの検査結果と併せて判断すべきです。最近では、「3テスラMRI」という高精度の磁気共鳴画像装置でより正確な診断が可能となりました。

 前立腺内にとどまる初期のがんが早期に発見できた場合は、「ロボット支援手術」や「腹腔(ふくくう)鏡手術」、さらに放射線を前立腺だけに集中して照射する組織内照射療法「ブラキーセラピー」といった標準的な治療で治すことができます。転移を起こした進行性の前立腺がんに対しては、効果のある期間に個人差はありますが薬物によるホルモン療法が有効です。

 前立腺がんは、食事などによる予防だけでなく、検診で早期発見し、適切な治療方法を選ぶことが重要です。


◎ 著者プロフィール
氏名:執印 太郎(シュウイン タロウ)
所属:高知大学医学部 泌尿器科
役職:教授

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