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よろず相談

70.ヒアルロン酸注射 打ち過ぎ?(平成28年3月25日掲載)

質問
 膝がギコギコ、ガキガキしてとてもつらく、毎週のように近くの医院でヒアルロン酸注射を打ってもらっています。とても楽になりうれしいのですが、週に1回は打ち過ぎでしょうか? 注射してくれるお医者さんは「やり過ぎではないですよ」とおっしゃってくれています。どんなものかよく教えてください。(72歳女性)

回答

 膝関節の中には関節液と呼ばれるねばねばした液体が少量あり、関節を滑らかに動かし、衝撃を吸収するとともに、関節の軟骨に栄養を補給する働きを担っています。
 この関節液の主成分がヒアルロン酸で、強い粘り気と弾力性があります。関節軟骨がすり減る「変形性膝関節症」になると、関節液中のヒアルロン酸が少なくなり、関節液の粘り気と弾力性が低下するため、膝の動きに滑らかさがなくなり、ギコギコ、ガキガキと関節がきしむようになるのです。

 ヒアルロン酸注射は変形性膝関節症の治療法の一つで、少なくなったヒアルロン酸を体外から関節内に注射することで補うものです。ヒアルロン酸注射によって関節の動きの滑らかさと衝撃吸収作用が回復し、痛みが和らぐと考えられています。
 1週間ごとに連続5回注射するのが標準的な治療法で、重い副作用は少なく、注射した部位が少し痛む程度です。このため、効果があると実感される方は、ヒアルロン酸を連続5回注射した後も、一定の間隔で引き続き注射を受ける方もおられます。

 ただ、ヒアルロン酸注射には、まれではありますが感染症や関節内出血といった重い副作用が起こることがありますので、効果がないのに漫然と注射を受け続けるのはお勧めできません。

 変形性膝関節症の治療の基本は筋力訓練、ストレッチ、有酸素運動などの運動療法です。運動療法によって副作用なく症状を和らげることができ、歩行機能も改善します。運動療法をしっかり行えば、副作用のある薬の治療が不要となることも少なくありません。運動療法ができているか、いま一度、見直してみてはいかがでしょうか。

 また、ヒアルロン酸治療は、軽症な方ほど効果が高く、重症な方には効きにくいことが分かっています。重症な場合には、治療効果の少ないヒアルロン酸治療よりも一歩進んだ治療として、手術治療が適していることがあります。


◎ 著者プロフィール
氏名:池内 昌彦(イケウチ マサヒコ)
所属:高知大学医学部 整形外科
役職:教授

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