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よろず相談

75.偽痛風で手足のむくみがつらい(平成28年6月24日掲載)

質問
 75歳の母親が偽痛風と診断され、手足のむくみがひどくつらそうです。病院で痛み止めの薬をもらっていますが、有効な治療法はないとのこと。何か新しい治療法がありましたら、教えていただけませんでしょうか。(56歳男性)

回答

 偽痛風は高齢者に急性発症する関節の病気で、関節軟骨や滑膜に沈着しているピロリン酸カルシウムの結晶が関節内に分離して出てくることで起こります。尿酸の結晶が原因で起こる痛風発作に似ているため、偽痛風と呼ばれます。関節に腫れと痛みがあり、レントゲン写真で石灰化像がみられ、関節液や関節内組織からピロリン酸カルシウムの結晶が確認されることで診断されます。膝や手首によく認められますが、肩や足首、脊椎に生じることもあります。

 やっかいなことに偽痛風はピロリン酸カルシウムの結晶が原因で起こる関節炎の一つのタイプに過ぎず、この他に変形性関節症に似た慢性の経過をたどるものや、関節リウマチのように数か月にわたって幾つかの関節に関節炎を起こすものもあるため、しばしば的確な診断が困難な場合があります。

 治療は消炎鎮痛剤(痛み止め)の内服が第一選択となりますが、関節が腫れて水がたまっている場合は針を刺して水を抜いたり、ステロイド剤(強い抗炎症剤)の関節内注入なども行われます。

 また、関節局所の激しい炎症や、複数の関節の発作、発熱などの全身症状が出現した場合にはステロイド剤の全身投与を行うことがあります。かなりまれですが、難治例に対しては結晶の塊を摘出するために関節内を洗浄する手術が行われることもあります。

 ご質問の患者さんに対してまずおすすめしたいのは、関節外科を専門にする医師を受診し、関節炎の診断と病態の把握をより正確に行うことです。先に述べたようにピロリン酸カルシウムの結晶が原因で起こる関節炎にも幾つかのタイプがありますし、この結晶が関節内にあっても無症状の高齢者の方もたくさんおられるので、他のことが原因で生じる関節炎の可能性も検討する必要があります。手足のむくみに関しても、関節炎が原因で二次的に起こっているものか、それ以外の原因がないのかといった検討が必要です。

 頻度はまれですが左右対称性の多関節炎に手足のむくみを合併するような特殊な病気も報告されています。治療方針は以上のことを検討した上で決定されるべきであると考えます。


◎ 著者プロフィール
氏名:泉 仁(イズミ マサシ)
所属:高知大学医学部 整形外科
役職:助教

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