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よろず相談

77.口開けると、こめかみに違和感(平成28年8月5日掲載)

質問
 1年前に左あごが外れて口が開かなくなり、口腔(こうくう)外科に通院しました。その際、インプラント2本を左下の奥歯に入れました。右の奥歯は以前から義歯の2本かぶせを入れています。
 調子は良かったのですが、最近、食事中に口を開けるたびに左こめかみの下で「コンコン」と骨がすれ違う音がします。口を開けただけで「コン」と音がします。ずっと左側の歯だけでかんでいたので使い過ぎかと思い、右側へ食べ物を移そうとすると「キー」と嫌な痛みが左こめかみの下に走ります。マッサージなど何か症状が軽くなる方法はないでしょうか。(70歳女性)

回答

 「口が開かない」「左こめかみの下で音がする」「左こめかみが痛い」という症状は、典型的な顎(がく)関節症の症状です。顎関節症というのは、何らかの原因であごの関節(顎関節)やあごを動かす筋肉(咀嚼=そしゃく=筋)に異常を来し、「顎関節で音がする」「口が開かない」「咀嚼筋が痛い」といった症状を呈する病気です。

 原因は単純ではなく、いくつかの要因が互いに影響し合って症状を起こします。要因としては、悪いかみ合せ、食いしばり、歯ぎしり、片側でのみかむ癖、うつ伏せ寝、頬づえ、精神的ストレスなどが挙げられます。

 相談者の場合、なくなった下あごの両側の奥歯のところにかぶせとインプラントを2本ずつ入れているとのことですが、自分自身の歯の時と比べてかみ合せが低くなっており、それが顎関節に悪影響を及ぼしている可能があります。
 また、ずっと左側の歯だけで噛んでいたとのことですので、それも影響している可能性があります。そのような要因が続くと顎関節の骨自体に変形が生じて音や痛みの原因になっている可能性がありますし、関節リウマチにかかっている場合は関節リウマチで顎関節の骨が変形することもあります。

 口腔外科に通院していたとのことですが、かみ合せに問題がないか、顎関節の骨に変形がないか、関節リウマチなどの全身疾患がないか、顎関節症のような症状を呈する顎関節の腫瘍性病変でないかを調べていなければ、一度きちっと調べる必要があると思います。

 治療としては、先に述べた要因があれば、それをなくすことが第一です。その上で、「スプリント療法」と呼ばれるマウスピースのようなプラスチックの装置を歯にかぶせる方法が一般的ですが、音はなかなか消えません。疼痛(とうつう)が強いようであれば、消炎鎮痛剤を併用します。
 顎関節の周囲を温めたり、マッサージしたり、あごを動かす練習をしたりすることが効果的な場合もありますが、やり方も重要ですので、一度口腔外科専門医に診ていただいたらいかがでしょうか。


◎ 著者プロフィール
氏名:山本 哲也(ヤマモト テツヤ)
所属:高知大学医学部 歯科口腔外科
役職:教授

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