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よろず相談

84.顔面まひ後、右目に違和感(平成28年11月11日掲載)

質問
 昨年9月、みそ汁が口からこぼれ落ちるのにびっくりして脳神経外科を受診し、顔面まひの診断を受けました。顔の右と左で2センチくらいのずれが出ていました。
 10日間ほどの注射による治療後、ステロイドなどの薬を飲みましたが、今も右目に違和感があります。涙が出て視力が悪くなり、まぶたが下がってつぶれ目になります。眼科では点眼薬だけの治療です。
 この何とも言えない違和感は時が過ぎれば治るものでしょうか。(68歳女性)

回答

 顔の筋肉を動かす顔面神経の障害(顔面神経麻痺)と考えられます。発症から1年たっても症状が残り、お困りだと思います。

 顔面神経は脳から出る脳神経の一つで、脳幹にある神経核(神経細胞のかたまり)から出て、主に顔の筋肉に分布し、顔の表情を作ります。唾液腺に分枝して唾液を出したり、涙腺から涙を出す神経も含まれています。

 顔面神経核はさらに上の大脳から来た神経に調節されていますので、麻痺には大脳から来る神経が障害される「中枢性の麻痺」と、神経核より先の神経が障害される「末梢性の麻痺」の二種類があります。
 中枢性麻痺は主に脳の病気(脳卒中や脳腫瘍など)で起こり、末梢性麻痺は顔面神経のウイルス感染が原因となることが最も多いようです。 

 中枢性麻痺は、脳梗塞による麻痺が治りにくいのと同様、改善が困難なことが多いですが、末梢性麻痺では帯状疱疹(ほうしん)ウイルスの感染以外は70~80%の人が約3カ月で完全に治ります。
 ただ、後遺症として麻痺が残る方もあり、完全麻痺や、3週以内に改善しない場合は治りにくいと言われます。

 後遺症として、顔面の筋肉がこわばって動きが悪くなる拘縮(こうしゅく)や、顔面神経が再生する時にあちこちに誤って伸びて混線するために起こるものがあります。
 例えば、口を動かす神経が目の周りの筋肉につながると、口を開けたときにまぶたも動きます(病的共同運動)。また、唾液を出す神経が涙を出す神経と混線すると、食事の時に涙が出ます。ワニが食べる時に涙を出すことから「ワニの涙」といいます。

 後遺症には以下の治療があります。
 ①ボツリヌス療法=ボツリヌス毒素から作った薬が脳卒中後の筋肉拘縮に使われており、病的共同運動や拘縮を和らげる効果が期待できます。
 ②手術=表情などを改善します。
 ③リハビリテーション=病的共同運動などの後遺症を目立たなくするために行います。
 実際には原因、症状、後遺症の程度などをみて対応していきます。脳神経外科や耳鼻咽喉科などで相談なさってください。


◎ 著者プロフィール
氏名:中城 登仁(ナカジョウ タカヒト)
所属:高知大学医学部 脳神経外科
役職:准教授

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