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よろず相談

85.肺NTM症 注意点は(平成28年11月25日掲載)

質問
 昨年9月から咳(せき)、痰(たん)がひどくなり、今年6月、呼吸器内科で「肺NTM症(肺非結核性抗酸菌症)」と診断されました。今は痰の切れをよくする薬、咳を鎮める薬を飲んでいます。特に夜間にひどく、外出もままなりません。先日の新聞で、肺NTM症に有効な治療法がないと書かれていましたが、このまま通院してもよいものでしょうか。日常、特に注意することがあれば教えてください。(83歳女性)

回答

 肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)は、土壌、水、ほこりなど自然界に広く存在する非結核性抗酸菌(人から人には感染しません)を吸い込んで、肺に病変ができたものです。
 初期は無症状のことが多いですが、痰がひどい場合は、病気が進行して肺に空洞ができていたり、気管支の壁が破壊され気管支拡張症になっている可能性があります。

 気管支拡張症に一度なると、治すことは困難で、慢性的に緑膿菌などの細菌が定着して、さらに気管支の壁を壊すという悪循環に陥る場合があります。
 痰がらみの咳の場合に、咳止めで咳を沈めてしまうと、肺の中に汚い痰が排出されず残り、むしろ感染症を悪化させる場合もあります。

 治療法には去痰薬の服用のほか、痰からMAC菌(肺NTM症の原因の8割を占める菌)が検出されている場合は、クラリスロマイシン、リファンピシン、エタンブトール(またはストレプトマイシン)の3剤を長期間服用します。
 症状の改善、菌の減少・消失、肺陰影の改善が期待できますが、治療効果が十分得られない場合もあり、数年単位の長期内服が必要になることもあります。副作用として、肝障害、発疹、視力障害、血球減少などが現れることがあります。

 菌量が少なく、進行がゆっくりで、高齢あるいは肝障害や腎障害などがあり、副作用が心配される方は、陰影の変化を見ながら経過観察する場合もあります。
 しかし、病気が進行して空洞や気管支拡張症を来した場合は、治療が難渋することもあるため、主治医の先生に治療の利点と欠点を相談されることをお勧めします。

 日常生活で注意することは以下の4点です。

 ①十分な栄養を取り、体力・免疫力を維持する。
 ②痰を出す際に、横になって体の向きを変えながら咳をして十分に痰を出す。
 ③血痰が出る場合は早めに受診する。
 ④菌が住み着きやすい風呂場、特にシャワーヘッドなどを定期的に掃除する。


◎ 著者プロフィール
氏名:大西 広志(オオニシ ヒロシ)
所属:高知大学医学部 血液・呼吸器内科
役職:講師

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