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よろず相談

番外編:舌が20年痛い(平成28年4月22日掲載)

質問
 20年ほど前から舌痛で悩んでいます。口腔外科や内科を受診したり、漢方薬を取り寄せて飲んでみたり、手を尽くしましたが治りません。痛まない日はなく、あまりに痛みがひどいときは氷を含むのですが何秒も持たず、生きることが耐えられなくなるほどです。お願いです。舌痛はどうにかならないものでしょうか?(80歳女性)

回答

 相談者のように「舌が痛い」と訴えて受診される方は少なくなく、「舌痛症」と思われます。

 舌痛症とは、舌に明らかな異常が認められないにもかかわらず「ヒリヒリ」「ピリピリ」「ジンジン」といった痛みを覚える病気で、中高年の女性に多く見られます。
 症状は数カ月から数年続きます。痛みは一日中続くことが多いのですが、1日のうちでも変動がありますし、生活環境によっても痛みの程度が変化します。食事中に痛みが増すことはありません。

 舌痛症の原因ははっきりしていませんが、多くの場合、幾つかの原因が関わっています。
 口腔(こうくう)乾燥症のような口の中の疾患、心理的問題などが関与していることがありますが、脳の中の痛みを制御するシステムに異常が起こっているのではないかと推測されています。

 最近の研究で、この脳の制御システムに異常が生じると、わずかな痛みが増強されたり、脳の中で痛みが勝手につくり出されたりすることが分かってきました。
 さらに、この痛みには病気に対する不安や恐怖、周りの環境から受けるストレスなどが関わっていることも分かってきました。

 診断に当たってはまず、舌に痛みの原因となり得るものがないかどうかを調べてもらうことです。次に、舌を過敏にする貧血やビタミン欠乏、鉄などの微量金属の欠乏などがないかどうかを血液検査で調べます。そこで異常が見つかれば、治療を行います。
 不安や抑うつのような心理的な問題が関与している場合はカウンセリングや薬物療法が必要になりますし、神経障害が関係している場合は神経系に作用する薬物療法を行わなければならないこともあります。

 したがって、まずは口の中を専門に診ている歯科(口腔外科)で相談し、最も適した治療法を主治医あるいはほかの診療科とも相談しながら見つけていく必要があります。がんのような悪い病気とは違いますので、気長に付き合いながら治していこうという気持ちが大切です。


◎ 著者プロフィール
氏名:山本 哲也(ヤマモト テツヤ)
所属:高知大学医学部 歯科口腔外科
役職:教授

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