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よろず相談

番外編:頸椎症性神経根症とは(平成27年6月19日掲載)

質問
 左手の甲に違和感があり、小指や薬指がしびれるようになり、2012年に「頸椎(けいつい)症性神経根症」と診断されました。主治医からは「しびれが首からなのか、肘からなのかが分からないので様子を見よう」と言われています。
 今では左肘から小指、薬指にかけて痛みも伴い、親指や人さし指がつるようになりました。最近は左足も痛むようになりましたが、関係はあるのでしょうか。この病気の症状を教えてください。(72歳女性)

回答

 頸椎は、七つの骨が上下に並んで頭部と体幹を連結しています。骨の内部のトンネル(脊柱管)を脊髄が走り、脊髄から枝別れした神経根が頸椎の骨の間(椎間孔)を通って出ています。
 頸椎症性神経根症は、頸椎の加齢によって出っ張った骨や椎間板に神経根が圧迫、刺激され、片側の上肢にしびれや痛み、筋力低下を生じる病気です(図1)。しびれや痛みは首を反らすなどの動きで強くなり、その程度は軽いものから非常に強いものまでさまざまです。

 左手のしびれや痛みは、頸椎症性神経根症が原因である可能性があります。しびれや痛みの範囲は、障害される神経根によってある程度決まっています。左薬指や小指にしびれや痛みが出ていることから、8番目の神経根が症状の原因になっている可能性があります。
 また、ご質問にもありますが、「肘部管症候群」といって、肘の内側で尺骨神経が圧迫されて障害を受け、左手、特に小指側のしびれを生じる病気もあり、この疾患の可能性もあります。

 本当の原因を絞り込んで診断するには、病歴を詳しく聞き、身体診察をした上で、エックス線やCT(コンピューター断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像装置)などの画像検査を行う必要があります。神経伝導検査などの電気生理学的検査も必要に応じ行います。

 一般的に、痛みやしびれは自然に改善していく場合も多いのですが、症状が改善せず治療が必要となる場合には、生活動作を改善する指導や、頸椎の外固定(頸椎カラーなどを用います)などに加えて、薬物治療も行います。筋力低下が著しい場合や、強い痛みのため仕事や日常生活の障害が強い場合は、手術や神経ブロックなどが選択されます。

 ただ、相談者が最近自覚されている左足の痛みについては、頸椎症性神経根症では説明しにくく、腰椎疾患の合併なども考えられます。ぜひ詳しい検査をご検討ください。


◎ 著者プロフィール
氏名:田所 伸朗(タドコロ ノブアキ)
所属:高知大学医学部 整形外科
役職:医員

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