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よろず相談

38.腱鞘炎の手術とは(平成26年12月5日掲載)

質問
 両手の人さし指と中指の腱鞘(けんしょう)炎になり、2~3年前から整形外科で手に注射をしてもらっています。
 先日、「注射はこれ以上できないので、手術をした方がいい」と言われました。どのように手術をするのか教えてください。手術をしたらよくなるのでしょうか。(70歳男性)

回答

 手の腱鞘炎にはいくつかの病気が考えられますが、両手の人さし指と中指に注射をしてもらっているとのことですので、一番考えられる病気は「ばね指(屈筋腱腱鞘炎)」です。

 まず、ばね指について説明します。指は屈筋腱によって曲げることができます。この腱は手のひら側の指先から前腕の筋肉につながっています。その通り道で、腱は浮き上がらないように「靭帯(じんたい)性腱鞘」と言われる数カ所のトンネルの中を通っています。手指の使い過ぎなどで繰り返し刺激が加わることで、指の付け根付近のトンネルで炎症が起こり、腱鞘や腱が肥厚してくることでうまく腱が通らなくなってくるのです。

 症状は手の付け根の痛み、指の曲げ伸ばしでの引っかかり(弾発現象)などです。治療は炎症を落ち着かせるために安静にしたり、腱鞘内の注射をしたりします。注射をしても痛みを繰り返す場合や、引っかかりが強くて曲げ伸ばしが困難な場合は手術の適応となります。注射を繰り返すと腱や腱鞘を傷める可能性もありますので、手術を勧められたのだと思います。

 手術方法ですが、手術部位のみの麻酔(局所麻酔)や、手術側の腕から指先までの麻酔(伝達麻酔)で行います。手の付け根を約1~2センチ切開し、腱鞘を一部切開してトンネルを広げて腱の通りをよくします。日帰りや1泊程度の入院で行い、手術当日から指の運動は可能です。約7~10日で抜糸となります。手術は比較的症状が改善しやすく、「よくなった」と言われる成功率の高い治療です。ただ、まれに再発例もあります。

 今回はばね指について説明しましたが、手根管症候群(手関節で神経が圧迫される病気)や頸椎(けいつい)症性脊髄症(首の骨で脊髄が圧迫される病気)も両手指に痛みが出てきます。手指のしびれもあるようでしたら、詳しい検査が必要です。

 手術の方法は病院によって少し異なることもあります。手術の利点、欠点も含めてもう一度主治医の先生に相談し、よく理解した上で決めていただくことをお勧めします。


◎ 著者プロフィール
氏名:喜安 克仁(キヤス カツヒト)
所属:高知大学医学部 整形外科
役職:助教

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